はじめに
障害をお持ちの方は、就職先を探す際に「就労継続支援A型」や「A型事業所」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。
どんなものか分からず、求人サイトを見ても避けている方は多いのではないでしょうか。
ブログ管理人は精神障害を持っていて、現在、A型事業所を利用して働いています。
実は、A型事業所は、障害を持っている方にとって働きやすい制度が整っている事業所なのです。
この記事では「A型事業所(就労継続支援A型)」とは何か、どんな職種があるのか、精神障害があっても働けるのかを解説します。
A型事業所(就労継続支援A型)とは?
就労継続支援A型とは、障害や難病を抱えており一般企業へ就職することが難しい方へ、働く場所を提供する福祉サービスです。
就労継続支援A型では雇用契約を結ぶため、仕事をすることで最低賃金以上の給与が貰えます。
また、社会保険や労働に関する法律も、一般労働と同じように適用されます。
厚生労働省の社会福祉施設等調査によると、2021年(令和3年)時点で就労継続支援A型事業所の数は4,130事業所、利用人数は98,620人となっています。
厚生労働省 障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況
事業所数や利用人数は年々増加しており、需要は増しているのです。
就労継続支援A型の利用条件
利用対象者は、18歳以上64歳以下の方であり、
身体障害、知的障害、精神障害、難病などをお持ちの方です。
また、現時点で一般企業への就職が難しい方も対象となります。
就職が難しい方は、以下の方を含みます。
障害者手帳を持っていなくても利用できる
A型事業所を利用するにあたって、必ず障害者手帳は必要というわけではありません。
全ての事業所が対象ではありませんが、医師の診断書や定期通院を証明できるものがあれば、就労継続支援A型を利用できます。
利用料金
A型事業所の利用期間中は、厚生労働省により定められている利用料金を払わなければなりません。
利用料金の9割は市区町村の補助金で負担され、1割を利用者が払う必要があります。
利用者の負担額は、世帯の年収によって異なります。
しかし、1ヶ月の利用限度額が決められているため、その負担上限額を超えることはありません。
世帯収入・状況 | 負担上限額/月 |
---|---|
生活保護受給世帯 | 0円 |
市町村民税非課税世帯(※注1) (概ね年収300万円未満) | 0円 |
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※注2 | 9,300円 |
上記以外 | 37,200円 |
※注2:1年の収入が概ね670万円未満の世帯が対象。また、入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は37,200円負担。
参考:厚生労働省 障害者の利用者負担
利用料金を負担しなくて良い場合もある
利用料金は、利用者は原則1割負担しなければならないのですが、A型事業所の判断により利用負担額を減らせる制度があります。
利用負担額を事業者が負担する場合は、利用者は料金を負担せずA型事業所を利用できます。
どんな職種(仕事内容)があるの?給料は低い?
A型事業所では、実際にどんな仕事をするのでしょうか?
ここでは、就労継続支援A型で行う主な仕事内容、給料について紹介します。
就労継続支援A型の仕事内容
一例ですが、以下のような仕事内容があります。
就労継続支援A型の給料
就労継続支援A型は雇用契約を結ぶので、都道府県の最低賃金が保証されています。
ほとんどのA型事業所は、都道府県の最低賃金であることが多いです。
しかし、会社の業績や個人の業績が良ければ、時給が上がることも考えられるでしょう。
厚生労働省の調査によると、
厚生労働省 令和3年度工賃(賃金)の実績について
令和3年度のA型雇用で働いている人の平均月収は「81,645円」となっています。
精神障害があっても働ける?
A型事業所の勤務形態は、一般就労とほとんど変わりませんが、
1日の労働時間が比較的短いことが特徴です。
A型事業所の労働時間に決まったルールは無く、
事業所によって4時間~8時間程ですが、4時間~5時間が一般的です。
長時間勤務(7時間以上)ができるA型事業所は、少ないのです。
また、事業所により「〇時~〇時まで勤務する」と決められている場合もあれば、
「障害の程度や体調に合わせて個別に決めて良い」という所もあります。
「1日の労働時間が短い」ということや「事業所によっては、自分に合った勤務時間を選択できる」ことから、
精神障害を抱えていても、一般企業より働きやすいでしょう。
ちなみに一例ですが、私が現在働いているA型事業所は、週20時間以上になれば、勤務時間と勤務する曜日を自由に決めてOKという条件でした。
この場合だと、1日5時間×週4日という働き方ができ、月曜日または金曜日をお休みにして3連休にしたり、水曜日をお休みにして中休みを作ったりという働き方も可能です。
また、A型事業所にはサービス管理責任者という、障害者の就労をサポートしてくれる”福祉業界の専門家”が、義務として配置されています。
A型事業所は一般企業よりも病気について理解してもらいやすい環境なので、
体調について配慮されたり相談ができたりします。
まとめ
この記事では、A型事業所(就労継続支援A型)について、A型事業所でよくある仕事内容・給料に加えて、精神障害を抱えていても働けるのかなどを解説しました。
病気について職場の人に理解してもらうことで、精神障害があっても働きやすくなります。
体調が不安定だったり、配慮をしてほしいという人は、A型事業所の利用も検討してみましょう。
自身の特性や体調に合わせて、無理のない就職活動・働き方をしましょう。